朝倉未来著『強者の流儀』

image-朝倉未来著『強者の流儀』 - JKF池下

愛を知る県、愛知県豊橋市出身のYouTuber兼格闘家の本。

いろいろなことをしっかりと考え、戦略を立て、クレバーで頭の切れる人物だと感じた。
本中で著者は、自分で客観視する能力があることに触れているが、リング上で戦っている自分とはもう一人違う自分を作ることは、私は今でもよくやっている。
格闘技ゲームに出てくる体力ゲージのようなものを、痛みゲージに置き換えて練習したり試合をしていた。
疲れも痛みも、本当に自分のものだけだと思いこむと、追い込まれたときにとても立っていられない。

「痛いのは自分だけではない。相手だって辛いのだ」

と思い込むことで、もう少しがんばってみようかと力を振り絞れる。

格闘技は、根気を養うことができる。

自分を客観視することができれば、周りの意見や論調に流されて自分という軸を見失うことなく、凛として生きていける。
朝倉未来を見ているとそう感じる。

「周りは自分のことを全然理解してくれない」

と嘆く者もいる。
まったくもって甘い考えである。
往往にして、そのような人間は自分を客観視できていない。

自分の顔、性格、体型などをちゃんと把握できているだろうか。
鏡の中の自分、写真に撮られたときの自分、スマホ画面に映る自分。
自分を色々な角度から見つめてみよう。
理解してもらえるような努力を本当にしただろうか。
そしてその努力の方向性は独りよがりになっていないだろうか。

人間関係に悩むこともそう。
私ももちろん悩むことはある。
しかし、常に自分の責任、自己責任だと思うようにしている。
自分が騙されたとしても、自分がそのような隙を見せてしまった、あるいは頭の悪いヤツだと相手からナメられてしまった時点で私の負けだと思っている。
まだまだ修行中の身なので当然ゼロではないが、私は、恨んでいる人はかなり少ない。

自分の人生を思い返してみよう。
誰それに嫌がらせをされた、裏切られた、いじめられた。
なぜ嫌がらせをされたのか、裏切られたのか、いじめられたのか。
自分にどのような原因があったのか。
何がなければ、あるいは何をしていれば、自分はこの災厄から逃れられたのか。

人間関係の悩みを振り返ってみて、結局いつも同じようなトラブルに見舞われている人は、自分に原因があるかもしれないということから目を逸らしていることもある。
その場合、永遠に人間関係の悩みに振り回されながら人生を終えることになる。

朝倉未来も言っている。

「今から変われる」

日刊SPA! のコラムでも書いたけれど、私もまったく同じ思いである。
「自分の実力不足を責任転嫁していただけだ」と気づくだけでも、自己の成長への大きな前進となる。

著者もあたたかい幾人かの友人と支援者に恵まれているようだ。
これから先、たくさんの出来事が起こるだろう。
いいことも、悪いことも。
自分を客観視できる彼なら、いろいろなことを乗り越えていくだろう。
そして真のピンチに陥ったときには、信頼関係があれば周りの人間も快く手助けしてくれるのではないだろうか。

私は総合格闘技は素人だけれど、一人のキックボクサーとして、佐藤嘉洋ランキング実行委員長として、朝倉未来を応援している。

明るく生こまい
佐藤嘉洋