青山文平著『跳ぶ男』

最近、能に興味を持っている。それを所属しているライオンズクラブの先輩に話したら勧められた本である。
自分で選んだ本ももちろん良いのだが、他人から勧められた本は視野が広がる。最初は読みにくさを感じても頑張って読みたい。
心に響いた主要人物のセリフのいくつかを抜粋してお届けしよう。
金(きん)がさらに輝くためには、当人が金であるだけでは足りない。周りも金でなければならん
おそらくは能ほど、それぞれがそれぞれの役を究(きわ)めようとする世界はない。一人一人が孤立しているかに映るまでに、各々が各々の能を探る。能ならではの鍛え上げられた構造が、それを許す。だからこそ日頃から、御藩主としての暮らしを律する。躾(しつけ)、だ。躾が大事なのは、定まった所作(しょさ)を繰り返せば気を集めずとも躰がひとりでに動くところにある。
明るく生こまい
佐藤嘉洋