白井聡著『武器としての「資本論」』

image-白井聡著『武器としての「資本論」』 - JKF池下

自分が日頃感じていた、資本主義への違和感に対する一つの回答を得たような気がした。
『資本論』のほんのさわりだけ、白井聡さんから学ばせていただいた。
『資本論』の著者、マルクスは、資本主義の成り立ち方や、その行く末を見事に言い当てていた。

この資本主義隆盛の世界において、あらゆる物事が資本主義的に動いているのではないか、と私は推察した。

名古屋市北区にある『すずらん通り』も資本主義の波に…

私の出身は愛を知る県名古屋市北区。
自分の少年時代、そこかしこに商店街があり、大変な賑わいを見せていた。
地下鉄でいえば平安通駅、名鉄瀬戸線でいえば森下駅の近くにある『すずらん通り』という商店街の裏が私の実家だ。

こじんまりとした薬局、よくわからない婦人服店、地域に根ざしたパチンコ屋、立ち飲み屋、毛糸屋、小さなおもちゃ屋、街の自転車屋、文房具屋などが立ち並んでいた。
パチンコ屋なんて、わずか400m程度のすずらん通りに全盛期は3件もあったほどである。
立ち飲み屋のほぼ隣にあったすずらん公園の噴水には、酔い冷ましによくおじさんが裸で入っていた。

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しかし今やその多くがシャッターを下ろすか、あるいは住宅地と化している。
この現象は日本中の多くの商店街に共通するのではないか。
食料品や雑貨も取り揃えた大手薬局チェーン、デザインや耐久性も持ち合わせながら驚くほど安いアパレルブランド、駐車場も巨大な大型のパチンコ店、1日中滞在できそうなショッピングモールに取って変わられてしまった。

「生産力が上昇した」「生産性が向上した」とは、「その生産に従事する労働の価値が低下した」ことを意味している。

と著者は語る。

なぜか昔ほど人情を感じないのは、ただ単に私が歳を重ねただけなのだろうか。
もちろん現在の店舗にも個性はある。
飲食店のクオリティの高さなど、ひと昔前の日本と比べたら雲泥の差だ。

新型コロナウイルスが資本主義破綻の発端になる!?

資本主義も行きつくところまで行きついてしまった。
それをマルクスは、まるで予言するかのように今の資本主義の状態を言い当てていた。
そしてどこかでその資本主義は破綻する、とも。
ただし、マルクスには革命家の一面もあったみたいなので、資本主義の破綻に関してはその一面を覗かせただけなのかもしれない。

しかしながら、私は今回の新型コロナウイルスによる世界中の大パニックが、資本主義破綻の発端になるのではないか、とも妄想している。
この騒動の前、銀行から500万円借りるのに、気が滅入るくらいの手続きを踏んでやっとのことで借りられた。
しかし、この騒動の最中、ほんのちょっと労力を費やしただけで、銀行側も手続きを代行してくれ、瞬く間に1500万円以上のお金を借りることができた。
しかも3年間は、国や自治体が利息を負担してくれるという。

また、国からの各種助成金でも、いとも簡単に数百万円に渡る金額を援助していただいた。
裏を返せばそのくらい世界的な危機に陥っていた、ということでもあるのだが、今までこんなことは一度たりとてなかった。
2009年のリーマンショックのときも、私はすでに自身のマネジメント会社や『喫茶アミー』『ぶる~と整体院』を経営していたが、これほどの貸付や援助を受けることはできなかった。

今、新型コロナウイルスをきっかけとして、世界中でとんでもないことが起こっている。
このパニックを発端にして、現行の資本主義に対する人々の捉え方が変わってしまわないだろうか。
それを国家も感じ取って、なんとかして革命が起きないようにお金を使いまくって必死に食い止めている状況だったりして。

明るく生こまい
佐藤嘉洋