墨1994年10月臨時増刊『古典の上手な学び方』
二人の師
2021年9月に立ちくらんで失神した日から、ほぼ毎日書道をしている。
それから東京の星野葉柳先生と、池下の伊藤先生から時折教えてもらっている。
星野先生とは、現役引退後に習っていた合気道からのご縁。
ブルート通信の『辞書の旅』のオリジナルロゴを筆で書いたあと、
「今読んでいる四字熟語を書いたら、皆さん喜ばれるんじゃないかしら」
と声をかけてくださった。
それが書道再開のキッカケである。
伊藤先生は、武田邦彦先生主宰『情報の会』メンバーの御母堂、なんと90代。
愛知県岡崎市で数百人の生徒を抱えていたそう。
JKF池下から徒歩3分のところに住んでいて、何度か書を添削していただいている。
そして、この本を貸してくれたのも、伊藤先生である。
「私が死んだらあげるけど、まだ全部見ていないから返してね」
と先生は笑っていた。
この本は難解だったが、書道に対する「学ぶ姿勢」を教えてもらった。
驚いたのが、キックボクシングを「学ぶ姿勢」にも通じていたこと。
プロキックボクサーとして意識していたことと同じようなことがいくつも書いてあった。
何歳になっても、学ぶというのは楽しい。
ゴールもないから、より面白い。
自分と向き合い、成長させたい。
手前味噌ながら、JKFでも、キックボクシングで健康を手に入れるのと同時に、一つの競技(道)を基礎から学べる。どんな形でもいいので、それぞれ自分の人生に活かしていただけたら幸甚です。
臨書とは
書家の間では当たり前に使われている『臨書(りんしょ)』という言葉すら知らなかった。
臨書とは、字が超上手い人たちのお手本を見ながら書くことである。
浅学ながら小4から中2まで4年間、書道教室に通っていた。
40代のイケメン和服メガネの後藤先生と、30代スレンダーメガネ女性の宮崎先生から手ほどきを受けていた。
この本で臨書を学び、当時やっていたのもまた臨書だったのだと思い知った。
おそらく欧陽荀(おうようじゅん)、王羲之(おうぎし)の字から、先生が朱墨で半紙に書いてくれ、自分はそれを真似て書く。
昔、後藤先生から言われたことを30年越しに色々と思い出している。
厳しい先生だったが、基礎を叩き込んでくれたおかげで、書道再開数ヶ月でかなり字が上達した。
大変感謝している。
基礎大事。
スマホのおかげ
スマホのおかげで、書道に対する障壁はガクンと下がった。
四字熟語の臨書にしても、スマホがなければ分厚い本から一字ずつ調べて……ううむ、到底できる気がしない。
悪いこともあるが、この時代に生まれたことを感謝したい。
現代は、昔の人の何生分(なんしょうぶん)も充実した人生を送れる環境にある。
【2023年10月追記】
この1年後には個展も開いて年間購読も申し込んじゃいました(笑)
具鷲庵にて
明るく生こまい
佐藤嘉洋